酵素(エンザイム)と補酵素(コエンザイム)
スポンサードリンク人間の体内での化学変化に不可欠なものが「酵素(エンザイム)」です。そしてある「酵素」はある目的のものにだけに反応し、化学変化を起こし、生命体を維持しているのです。
そして酵素反応を補助する非たんぱく質の有機化合物を「補酵素(コエンザイム)」と言い、ビタミンやサプリメントなどに利用されているものです。
この「酵素」や「補酵素」について、基本的な特徴をお話しします。
酵素(エンザイム)
「酵素」の発見の歴史は古く1832年で最初に発見された酵素は「ジアスターゼ」でした。
この「ジアスターゼ」は麦芽の無細胞抽出液によるでんぷんの糖化、すなわちデンプンを消化する酵素としてお馴染みです。
次に発見されたのは胃液中にタンパク質分解酵素のペプシンです。
「酵素 (enzyme:エンザイム)」という語は「酵母の中」という意味のギリシア語に 由来するもので、1878年にドイツのウィルヘルム・キューネによって命名されました。
酵素発見当初は、酵素がタンパク質であることをなかなか認められませんでしたが、その後、タンパク質からなる酵素が次々と発見され、酵素の実体が タンパク質であるということが広く認められるようになりました。
タンパク質を基に構成されているので、熱やpHにより変性し活性を失うといった特性があります。
身体の中での「酵素」の役割は、生命を構成する有機、無機化合物を取り込み、必要な化学反応を引き起こすことで、目的の生成物のみを産生するのです。
基質の形状と酵素のある部分の形状が鍵と鍵穴の関係のように、 形の似ていない物質は触媒されない、という酵素の特徴を 概念的に表したフィッシャーの「鍵と鍵穴説」があります。
この説のように、ある酵素は、その目的の物質のみに反応します。
この様に、細胞よりも小さいスケールで組織的な作用をするのが酵素の役割です。 人間が有史以前より利用していた発酵も細胞内外で起こる酵素反応の一種です。
補酵素」(coenzyme:コエンザイム)
酵素反応を補助する非たんぱく質の有機化合物を「補酵素」(coenzyme:コエンザイム)と呼びます。
コエンザイムは、よく見たり聞いたりする言葉なのでお馴染みですね。
ビタミンあるいはビタミンの代謝物に補酵素となるものが多く、 NAD、NADP、FMN、FAD、チアミン二リン酸、ピリドキサールリン酸、 コエンザイムA、リポ酸、葉酸などが代表的な補酵素であり、 サプリメントとして健康食品に利用されるものも多いのです。
酵素タンパク質が熱により変性し失活するのに対して、補酵素は耐熱性を示します。
酵素の利用
今日では、洗剤や化粧品など日用品に高い付加価値を付けるために 酵素が利用される場合が多くあります。
たとえば、汗しみや食べ物しみは、単純な油しみと違って 固形物であるタンパク質を含んでおり、 しみ成分が固形分と絡まって衣類の繊維に強く接着しているため、 界面活性剤だけで洗濯しても汚れを落としきれなません。
そこで、タンパク質を分解する酵素であるプロテアーゼを 含んだ酵素入り洗剤が広く利用されているのです。
ただし、通常のプロテアーゼは石鹸が溶けたアルカリ性領域では作用しないため、アルカリ性領域で良好に作用する(至適pHを持つ) アルカリプロテアーゼが利用されています。
また、プロテアーゼ以外には、衣類のセルロース繊維を部分的に分解して 汚れが拡散しやすいようにするために、セルラーゼを添加している洗剤もあります。
食器の洗剤に酵素であるプロテアーゼ(タンパク質汚れ)や リパーゼ(油汚れ)を添加することで汚れ落ちを増強したり、 アミラーゼ(澱粉質の糊)を添加することで流水だけで 洗浄する自動食器洗浄機でも汚れが落ちるように工夫している例が挙げられます。
化粧品への酵素の応用例としては、脱毛剤にケラチンを 分解する酵素パパイン(プロテアーゼの一種)を添加することで、 皮膚から突出したむだ毛を分解切断する例などがあります。
このように、酵素(エンザイム)や補酵素(コエンザイム)は日用品や健康食品に 活用され、素晴らしい働きをしています。
とくに、通常の食品では充分にとることが出来ない酵素や補酵素を サプリメントとして、活用することによって、
容易にこれらの酵素や補酵素を補うことが出来て 健康で元気な毎日を送ることが出来るようになりました。
これも現代科学の力ですね。
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