天下無敵のシャチ

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シャチ(鯱)は白と黒の「逆パンダ模様」で知られていて、水族館のショーなどでも、大きさ、スピードなど、その迫力に観客は圧倒されています。

野生では海のギャングと恐れられていますが、仲間意識・家族愛の高い社会性の高い動物でもあります。

wiki_shachi_Orca シャチ

目/科 クジラ目ハクジラ亜目マイルカ科シャチ属に属するハクジラの一種
別名  サカマタ(逆叉)、オルカ、海のギャング、殺し屋クジラ、冥界からの悪魔
体長 雄9m、雌6~7m
体重 雄10トン、雌3~4トン
寿命 雄30歳、雌50歳
生息域  一般的に冷水を好むが世界中の海に生息
特徴
  • 背面は黒、腹面は白色で、両目の上方に白い模様
  • 肉食動物で、歯は鋭く、自然界での天敵なし
  • 泳ぐ最高速度は時速82Km、哺乳類の中では水中を最も速く泳ぐことができる動物
  • 発生音を使い分け、仲間とコミュニケーションをとる
  • 知能が高く利益にならない戦闘は避ける傾向もあり、食べる必要のないものを襲うことは少ない
  • 狩りの際は、氷の下からの奇襲、群れでの協力、挟み撃ちなど高度な狩りの技術を持つ
  • 単体、または数頭から数十頭ほどの群れ(ポッド)を作って生活
  • 社会性が高く、家族愛、夫婦愛が強い



 

こぼれ話


(1)からだの特徴

背面は黒、腹面は白色で、両目の上方に白い模様があり、アイパッチと呼ばれます。

背びれの根元には灰色の模様があり、水中ではカムフラージュ効果があると同時に、個々の模様は一頭一頭異なるため、背びれの形状とともに個体識別に役立っています。

頭は円錐形で、特にオスの背びれは大きく、2m近くにもなります。

肉食動物で歯は鋭く、獲物を口の中で噛むためと言うより、むしろ飲み込みやすい大きさに引き裂くために使われています。

 

(2)生息分布

一般的に冷水を好むが世界中の海に生息し、クジラ目としては珍しく地中海やアラビア海にも生息すします。
餌になる動物が多いことなどから、特に極地付近の沿岸に多く住みます。地球上で最も広く分布する哺乳類の一種と言われています。

時には餌を求めて、数百kmも川を遡上することも報告されていて、日本では北海道の根室海峡から北方四島にかけてや、和歌山県太地町にて度々目撃されています。

 
(3)性格とコミュニケーション

非常に活発な動物で、ブリーチング(海面へ自らの体を打ちつけるジャンプ)、スパイホッピング(頭部を海面に出し、辺りを見渡すためと言われる行動)など、多彩な行動が水上でも観察されています。

wiki_shachi_Orca_2.jpg シャチのブリーチング

泳ぐ最高速度は時速82Km、これは「泳ぎの達人」であるバンドウイルカを超え、哺乳類の中では水中を最も速く泳ぐことができる動物です。

他のハクジラと同様、二つの種類の音を使い分けていることが知られています。一つはコールと呼ばれ、群れのメンバー同士のコミュニケーションに使用されています。

もう一つはクリック音と呼ばれ、噴気孔の奥にある溝から、メロンと呼ばれる脂肪で凝縮して発射される音波のことです。この音波は物質に当たるまで、水中を移動し、その反響音を下あごの骨から感じ取ることで、シャチは前方に何があるか判断することが出来ます。

この能力をエコーロケーション(反響定位)と呼びます。クリック音の性能は高く、わずか数mmしか離れていない二本の糸を認識したり、反響音の波形の違いから物質の成分、果ては内容物まで認識することが可能だといいます。

オスの平均寿命は30歳、最高寿命は約50歳で、メスの平均寿命は50歳、最高寿命は80歳あまりである。

 
(4)狩の方法とお食事

肉食性で食物連鎖の頂点に位置し、武器を使う人間を例外にすると自然界での天敵は存在しません。

多くの生物を捕食することから、獰猛(どうもう)で貪欲な捕食者として知られていますが、知能が高く利益にならない戦闘は避ける傾向もあり、食べる必要のないものを襲うことは少ないのです。

ただしアザラシを襲うとき、水上に放り投げ必要以上の苦痛を与えることがあります。

これはシャチがアザラシをしとめる際、岸にて猟るためシャチ自身が海に戻れなくなるリスクがあり、まだそのリスクを取れないシャチのための猟りの練習だと考えられていますが、はっきりしたことは未だわかっておりません。

小さいものでは魚・イカ・海鳥・ペンギン、比較的大きなものではアザラシ・イルカ・ホッキョクグマ、時にはクジラやサメなど、捕食する動物は多岐に渡っています。それぞれの海域で、最も利用しやすい動物を餌にすると言われています。

狩りの際は、氷の下からの奇襲、群れでの協力、挟み撃ちなど高度な狩りの技術を持ちます。
また、前述のクリック音を通常より凝縮させて、餌に当てることで麻痺させ、捕食しやすくする行動も知られています。レーザービームみたいですね。

浜辺にいるアシカなどに対して、そこへ這い上がって来て捕食する事もあります。

海洋学者のジャック=イヴ・クストーの海洋探査船が、水面下を遊泳していた3mほどのサメを真下から攻撃し、一撃で仕留めた例を報告しています。

大型のクジラを襲う場合は、一頭がクジラの頭上に陣取り、海面での呼吸を妨げ、もう一頭はクジラを底から押し上げ、潜水を妨げるなどの行動が観察されています。
好物はクジラの舌、口付近であり、他の多くの部分は放置されることがしばしばあります。

攻撃力が非常に高く、自分よりも遥かに大きいシロナガスクジラなどを襲ったり、獰猛なホホジロザメすら制圧したりする為、「海のギャング」などと呼ばれることもありますが、他のクジラやイルカに比べて同種間での攻撃的な行動は知られていません。

また、人を襲うことは稀で、捕食の対象として人間を認識し、襲ったことはありません。人間が襲われるのはアザラシと勘違いしているものと言われています。

暗色のダイビングスーツを着用している場合誤認される危険性は高まります。実際サーフボードに寝ころんでパドリングしている人間を海中から見上げるとアザラシに似ています。

  
(5)高い社会性の群れのあり方

単体、または数頭から数十頭ほどの群れ(ポッド)を作って生活し、非常に社会的な生活を営むことで知られています。

研究の進んでいるカナダのブリティッシュ・コロンビアでは、レジデント(定住型)、トランジエント(回遊型)、オフショア(沖合い型)の3タイプの個体群が知られています。

レジデント(定住型)は主に魚を餌とし、大抵は十数頭の家族群を形成して生活すします。魚の豊富な季節になると、特定の海域に定住し、餌を追うことから定住型と呼ばれます。

それに比べ、トランジエント(回遊型)は小さな群れまたは一頭のみで生活し、決まった行動区域を持たず、餌も海に住む哺乳類に限られます。

オフショア(沖合い型)は文字通り沖合いに生息し、何十頭もの巨大な群れを形成します。3タイプの中で最もデータが少なく、餌についてもほとんど分かっていませんが、傷が多かったり、歯がすり減ったりしているという特徴があるため、サメなどの「手強い」獲物を食しているとも考えられています。

群れは多くのは、母親を中心とした血の繋がった家族のみで構成され、オスは通常一生を同じ群れで過ごし、メスも自身の群れを新しく形成するものの、生まれた群れから離れることは少ないく家族愛、夫婦愛が強いようです。

それぞれの群れは、その家族独自の「方言」とも呼ばれるコールを持ち、それにより情報を互いに交換し合っています。

「方言」は親から子へ、代々受け継がれていきます。群れの中でのじゃれ合いなどの他にも、違う群れ同士が交じり合い、特に若い個体間での揉み合いや、激しいコールの交換なども観察されています。

ある特定の海域では年に1回、いくつもの家族が100頭以上の群れを形成する「スーパーポッド」という行動も知られています。

特に生まれたばかりの個体に対する、「気配り」とも取れる行動は多く観察されています。
母親が餌取りに専念している間、他のメスが若い個体の面倒を見る「ベビーシッティング」的な行動や、自身のとった獲物を若い個体にゆずったり、狩りの練習をさせるため、わざと獲物を放ったりすることも知られています。

一般に生まれたばかりの若い個体のいる群れは、移動速度が遅く、潜水時間も短い。このあたりからバンドウイルカなどと非常に似通った習性を持つと考えられています。

  
(6)シャチの見られる水族館

日本の施設で見られるシャチは、和歌山県太地町で捕獲されたものか、アイスランドで捕獲されて送られてきたものが殆どです。

シャチは獰猛とのイメージがありますが、人間には懐きやすく知能も極めて高いため、シャチのもつ壮大な運動能力を生かして各地の水族館などでショーに利用されています。

    * 鴨川シーワールド
    * 太地町立くじらの博物館
    * 伊豆・三津シーパラダイス
    * 名古屋港水族館

 

 

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