宮殿
正殿と中庭(せいでんとなかにわ)
正殿は、中央に「松の間」、左に「竹の間」、右に「梅の間」と、一棟三室となっています。棟高は東庭より約20メートルあり、宮殿の中で最も高くなっています。
中庭より3.7メートルの高珠と傾斜する屋根の外観は気品があります。棟の飾りの瑞鳥は高さ2.3メートルで、人間国宝であった故佐々木象堂氏の作品です。
広さ約4800平方メートル(1452坪)の中庭には和歌山県産の白那智石が敷き込まれており、西南隅の白梅、東北隅の紅梅が早春には美しい花をつけます。中央の松の間の左右の廊下に面して山口蓬春画伯の「楓(かえで)」と橋本明治画伯の「櫻(さくら)」の杉戸絵が、壁にはめ込まれています。
宮殿(きゅうでん)
参観コースには、残念ながら入ってませんが、外国のお客様をお招きして晩餐会などを開いたり、親任式をしたり、歌会始をしたりする宮殿です。みなさまもニュースなどでご覧になったことあるかと思います。
宮殿は、昭和39年7月に起工、昭和43年10月に完工したもので、新しい技術と材料の中に伝統の美しさを十分に取り入れ、「親愛と平明」を主調として設計されており、その中心をなす正殿(せいでん),豊明殿(ほうめいでん),長和殿(ちょうわでん),連翠(れんすい),千草(ちぐさ)・千鳥(ちどり)の間など7つの棟から構成されています。
様式は日本宮殿の伝統を重んじ、深い軒の出を持つ勾配屋根をかけた鉄骨鉄筋コンクリート造りの地上2階、地下1階、延べ約2.3万平方メートル(7000坪)の建物となっています。また、宮殿は銅瓦葺きの屋根で、京都、奈良などの古い寺が土瓦の急勾配の屋根を持つのに反し、ゆるい勾配のものとして平明な感じを出す一方、屋根の構造を入母屋造りと、一部寄棟造りとしたことで、伝統的な面も併せ表現しています。
さらに、色彩としても、銅瓦茸き屋板の人工発色の「緑青色」、古い木造の味を持たせた、硫化いぶし仕上げブロンズ板張りの柱・梁の「茶褐色」、それに漆喰壁の感じのアクリル特珠加工のアルミ壁の「白色」、この三色を基本にしています。
現在の宮殿の場所には、明治宮殿がありましたが、明治、大正、昭和の三代にわたり、数々の国家的行事が行われましたが、第二次大戦で空襲にあい焼失しました。