豊明殿(ほうめいでん)
「豊明殿」は中庭に面していて大きな饗宴が催されるときに使われます。室内面積は915平方メートル。宮殿のうちで、もっとも広い部屋で一棟一室となっています。
名称は昔の宮中の豊明節会(とよあかりのせちえ)にちなんでいます。三十二のクリスタルガラス製のシャンデリアが下げられ、壁面にはつづれ織りの「豊幡雲(とよはたぐも)」(中村岳陵氏原画)の仕上りとなっています。
夕空に五彩の雲がたなびくあざやかな描写は、三年の日時をかけて織り上げた、伝統工芸の技により圧倒的な迫力をみせています。床面は手織段通(杉山寧氏デザイン)が敷きこまれています。広い床面積のため、巾約7メートル、長さ約37メートルの段通が三枚はぎ合わされています。
建具は東西両側に襖、南側が明り障子。襖は本金糸から青金糸にぼかし上げて織った裂地(きれじ)張りで仕上げられています。
「豊明殿」の北側は配膳室、南側と東側と西側は廊下で、東側廊下の中央部が広くとってあり、奏樂室にも使用できます。饗宴の際には、襖をひらいて樂人が奏樂します。
豊明殿・長和殿・回廊と正殿にとりかこまれた庭は中庭です。京都御所紫宸殿南庭には有名な左近の桜、右近の橘がありますが、ここにはありません。ただ南西隅に白梅、北東隅に紅梅が植えられ、園路のほか一帯は那智産白砂利がしきつめられています。
内閣の組閣が行われるとき、奥の「松の間」で総理大臣は親任式、各大臣は認定式が終わりますと、玄関前の赤いジュウタンで記念撮影を行います。テレビや新聞などで報道されているのがここです。
総理大臣をはじめ主に日本人のお客様が使用される玄関で「北車寄せ」と言います。
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