松坂・岡島 2007年の分析
セイバーメトリクスという、野球をデータに基づいて客観的に解析しようとする「学問」があるのをご存知ですか?
いまレッドソックス顧問として「頭脳役」を務めているビル・ジェームズが作り出したメソドロジーで、毎年、「ビル・ジェームズ・ハンドブック」を出版し、セイバーメトリクスの視点から各選手の成績をまとめています。
今回は、11月1日に発売されたばかりの最新2008年版から、松坂大輔、岡島秀樹に関する部分を見てみると以下のようになります。
このハンドブックの中で、ジェームズは、投手成績を90項目に分けてまとめているが、この中から松坂・岡島がア・リーグ・ベスト10(あるいはワースト10)に入った項目を見てみると、松坂・岡島にそれそれ次のようなことが言えるのです。
まず、松坂大輔投手に関しては、奪三振数の多さ・被打率の低さを示していますように、基本的には打たれにくい投手といえます。さらに、投球数の多さは、スタミナの強さをも示しています。
しかし、与四球・与死球の多さから、コントロールに深刻な問題をかかえていることは一目瞭然で、しかも、ゴロ/フライ比の低さからもわかるように、松坂は、典型的なフライボール・ピッチャーであるが、フライボール・ピッチャーがコントロールに問題を抱えれば、被本塁打数が多くなるのも当然と言うことになります。
以上をまとめると、「コントロールの乱れから与四死球・被本塁打が増えた結果、被打率は低いにもかかわらず自責点が多くなった」といえます。
というわけで、数字は、松坂のメジャー1年目は、「力はあるのに、コントロールの乱れで苦しんだ」ことを示しているのですが、「得点圏に走者を置いたときの被打率」の低さが示すように、コントロールの悪さでピンチを迎えた後、「気力で」踏ん張った様子も窺えます。
一方、岡島投手に関してのセイバーメトリクスの結果は、岡島がメジャー有数の中継ぎ投手であることを明示していますが、右打者にも強い左腕だっただけに、監督としては「重宝」な存在だったといえます。
しかも、「走者を置いたとき」、「得点圏に走者を置いたとき」と、状況が苦しくなればなるほど、被打率が低くなるのだから、リリーフとして、これほど頼れる投手もいなかったでしょう。
また、岡島がここまでの活躍ができた理由が、今季レッドソックス入りして覚えた新球種、チェンジアップの威力にあったことは、数字からも明らかです。
なにしろ、被OPSは「ア・リーグの投手が投げるチェンジアップの中で2番目に打ちにくい」ことを示しているのですから、これからも期待していいのではないかと思います。
(gooニュース・スポーツ2007年11月20日から引用)
http://number.goo.ne.jp/baseball/mlb/column/20071120-1-1.html
トラックバック
トラックバックURL:
http://www.hls-j2006.com/mt/mt-tb.cgi/504